今回の技術開発・実証事業の詳細

Details of this technology demonstration project

実証方法

・これまで開発してきた帯水層蓄熱システム(ATES)は、季節間蓄熱が主でしたが、これに世界初の短周期蓄放熱や多重蓄熱機能を付加し、太陽光、風力などの再エネ電力を吸収することで、蓄電池や水素に比べ安価で省スペースな余剰再エネ電力吸収システムを開発します。

・具体的には、2025年4月から9月頃まで、建物が密集しエネルギー需要の旺盛な大都市を対象とした「都市・周辺地域連係モデル」、ならびに太陽光パネル等を備え、託送料金が不要な「工場等自家消費モデル」を対象に実証を行います。都市モデルにおいては、JEPXにおいて九州地区の再エネ電力料金が0.01¥/kWh以下となる時間、工場モデルにおいては太陽光発電パネルを備える九州地区某工場のデータをもとに、試験実証を行います。





実証試験の手順

・具体的運用方法を以下に示します。 冷房負荷が無い期間

① 冷房負荷がない中間期(4、5月)に休日、平日の0.01円/kWh時にHP蓄冷を実施、冷房時期に、揚水温度が10など設定値に達するまで直接冷房を行う。




②冷房期間に休日の0.01円/kWh時にHP蓄冷を実施、次の平日に、揚水温度が10℃(または冷水温度が11℃)に達するまで直接冷房を行う短期蓄放熱を行う。




③冷房期間に、電力需給ひっ迫対策としての深夜電力による低温蓄熱(HP蓄冷と同じ運転)と翌日のピーク電力対策として直接冷房を行う短期蓄放熱を行う。
(当初の事業計画にはなかったが、効果が見込める可能性があるため、今回追加で実証を行う)




開発技術の費用対効果と回収年


・2019年当時におけるATESおよび本開発品に関わる投資回収年の検討結果は以下となっています。建設費等高騰につき、今後見直しが必要です。

・工場等自家消費モデルについては、比較対象となる蓄電池の価格が高価なことから、回収年の短縮が可能です。




開発技術の優位性

・開発品と蓄電池、水素システムの費用対効果について整理しました。

・ATESの大容量エネルギー貯蔵能力を活かすことで、安価で省スペース(地下貯蔵で井戸口は小さい)な余剰再エネ電力吸収を実現できます。

蓄電池、水素システム、ATESに付加する余剰再エネ電力吸収システムの比較評価

帯水層蓄熱システムとその運用




省エネルギー推進と改正省エネ法について

・建築物省エネ法は、2024年4月より施行される改正により、延床面積が2,000㎡以上の大規模非住宅建築物について、用途に応じて基準値が15〜25%引き上げられます。また、2025年4月以降に着工する全ての建築物に「省エネ基準」への適合を義務付けることも決まっています。

・建築物省エネ法は、2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%排出削減(2013年度比)の実現に向け、建築物のエネルギー消費性能の向上を図るために制定・改正されています。
省エネ基準への適合が義務化されると、外壁の断熱材、高断熱性の窓設置、高効率の空調やLED照明の導入などが求められます。省エネ基準に適合しないと判断された場合は着工・開業ができません。

・また、2024年4月1日には、目的規定(建築物省エネ法1条)及び基本方針規定(同法3条)に「建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置の促進」を図る旨を追加する部分も施行されます。




https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/shoene_houkaisei2023.htm

2023年4月施行の「改正省エネ法」の改正点



適用対象範囲の拡大



非化石エネルギーへの転換
電気の需要の最適化