技術開発実証・事業

Technology development demonstration project

実証の概要

事業名 環境省 地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業
帯水層蓄熱設備に付加する余剰再生可能エネルギー電力吸収システムの技術開発
実施期間 2023年4月~2026年3月
研究代表 公立大学法人大阪 大阪公立大学大学院 工学研究科 教授 西岡真稔
協力者 大阪市、2025年日本国際博覧会協会
共同実施者 三菱重工サーマルシステムズ、竹中工務店、関西電力、安井建築設計事務所、東京大学
実証場所 「いつ一人で来ても指導員や仲間がいて、安心して様々なスポーツを楽しむことができる」という基本方針のもとた障がい者専用のスポーツ施設(宿泊施設併設)
敷地面積18,120㎡、延床面積 14,374㎡、地上6階
2020年5月から帯水層蓄熱システムの技術実証を開始、2021年3月の実証終了後も運用を継続


アミティ舞洲の帯水層蓄熱設備 最大揚水・還水量 100㎥/h、熱源機能力200RT(700kW)


画像:同センター紹介パンフレットより

事業実施の背景

・わが国の施策である2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの導入拡大が進められています。
再生可能エネルギーの普及を進める上では、導入コストや事業環境の改善、設備回収年の短縮が必要なことに加え、風力、太陽光発電では、これらが接続される電力系統側の制約の解消や、出力変動が大きいことにより、需給調整能力や地域間電力連係線の増強が求められています。

・一方、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場におけるエリアプライスは、電力需要が低下し再エネ発電量が増える春先から初夏に掛けて、0.01円/kWhと大幅に低下している時期が多く、相当量の余剰電力が発生していることが、これから一層の普及が図られるべき再エネ電力事業への投資意欲の減退につながっています。

帯水層蓄熱システムとその運用


スポット価格が0.01円/kWhとなるヒストグラム 九州電力エリアの卸電力30分スポット約定価格:
(30分スポット約定価格、九州電力エリア、2022年度) 0.01円/kWhの月別時間数(2022年4月~2023年3月まで)
0.01円/kWhとなる時間は2022年度関西電力エリアで年間351.5時間、九州電力エリアで954.5時間であった。

九州電力エリアの卸電力30分スポット約定価格:
0.01円/kWhの月別時間数より3月が最も多く147時間に達している。

・今回の実証事業では、これまで都市域への導入を目的に開発を進めてきたATESを季節間蓄熱用として使用するだけでなく、太陽光、風力などの再エネ電力を吸収し、活用するために使用できるようにしたいと考えています。

実証の目的と内容

これまで大阪公立大学をはじめとする共同実施者らは、大阪市の協力を得ながら、大規模建物(延床面積1万㎡~)にも適用でき、都市中心部で利用可能な熱の再生可能エネルギーである帯水層蓄熱技術の研究・開発を進めてきました。

・本技術開発では、足元にある地盤(帯水層)と地下水を使い、季節間の蓄熱に重ね、より低温の蓄熱を行います。具体的には、電力の需要と供給のギャップとして主に中間期に生じる余剰となった太陽光や風力などの再生可能エネルギー電力(余剰再エネ電力)を熱源機で消費(吸収)し、低温の冷水に変えて蓄熱、タイムシフトして夏に直接利用することで、本来必要な熱源機の電力消費なし(ネガワット効果)で、ゼロカーボンベースの冷房を行い、その有効活用を図るものです。

・本技術は、これまで無駄に捨てられていた余剰再エネ電力を減らすことで、再エネ電量への投資意欲の減退を抑制、その普及を後押しします。